サラバ!

西加奈子さんの『サラバ!』を読んだ。

 

上下巻とあってなかなかのボリューム。

西さんのこれまでの作品と少し違う感じがして、これはこれで面白かった。

 

主人公が産まれるところから始まる。生い立ちから、家族(特に姉のこと)、クラスメイト、親友、海外への移住など、様々なことに自分がどう対峙してきたかが長々と綴られる。

長い。

でもその長さにはめちゃくちゃ意味がある。他人の事なんか分かろうとしても分からないからね。どんなに言葉をつくしても、どうしてこの人格が形成されたのかなんて知りようがない。

だからこれだけのボリュームになるのは当然。

 

上巻は登場する人々の自意識が痛々しくて生々しくて読むのが辛かったぐらい。

自我が芽生えはじめる幼稚園でのエピソードや、中高生の「狭い世界の中での恋愛事情」なんかの描き方が凄い。

主人公は男だけど、女の嫌らしさもちょいちょい出てきて面白い。

どっか遠くから自分を見ているような感覚で生きている主人公が、年齢を重ねて自分と向き合いはじめるところからがめちゃくちゃ面白くて一気読み。

 

西さんはこの作品を「ハッピーエンド」と言っているけど、わかりやすいハッピーエンドじゃない。とにかくでも、何か力が湧いてくるような終わり方だったし読んで良かったと思えた。

やっぱり西さんの作品は凄い。f:id:yukiponpoko:20170517142521j:image

美らさん

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ちゅらさんで有名な平良とみおばぁの、沖縄の本。『ちゅらおばぁのなんくるないさ

 

初めて沖縄に行ったとき、魂が震えた。

低体温、低血圧、のろまで引っ込み思案なわたしが、ありのままの自分でもいいーさーと思うことができた。

沖縄の人たちのおおらかさや大雑把で物事を深く考えない(いい意味で)ところや、親しみやすさが大好き。

 

沖縄に抱いていた思いが、この本を読んで改めて感じることができた。おばぁの優しい語り口に、思わず何度も涙していた。

矛盾する現在の沖縄の問題も、おばぁが琉球王国の時代にまでさかのぼって教えてくれる。

 

 

ねこまき

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 『ねこのほそみち』ねこまき

松尾芭蕉の『おくのほそ道』をもじったタイトル。その名の通り、猫に関する俳句を集めた本。

 

ねこまきさんのイラストが猫好きにはたまらないかわいさ。

 

そして、昔の俳人も猫に向ける思いは同じなんだなぁと、嬉しくなった。

蝸牛はたしか夏の季語

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 壇蜜壇蜜歳時記』

 

「歳時記」と言うと、主に俳句に用いられる季語の事典のようなもの。『壇蜜日記』を読んでいて、季節に沿って丁寧に生活している印象を持っていたため、このタイトルにニヤリとしました。『壇蜜日記』のじわじわくる面白さとはまた違い、こちらは読み物としてきちんとまとまった印象。月ごとの扉に壇蜜さんの俳句が載っている。そして、その季節に応じた日常のささいなエピソードや思い出話しがつづられている。生きていく上での「細かなわずらわしさ」をドシッと受け止めるのではなく、サラリと受け流す姿勢が素敵で見習いたい。

 

太田忠司

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『伏木商店街の不思議』

たぶん初読みの太田忠司さん。

 

ちょろっと読むつもりが、面白くて一気読みしてしまった。題名の通り「伏木商店街の不思議」な出来事が詰まったショートショート

最初の2.3話は、どこかで聞いたようなお話しで新鮮味がないけど安心して読めるなぁと思っていたが、どんどん面白くなっていく。

著者の他の作品も是非読みたい。

妖怪アパート3

香月日輪『妖怪アパートの幽雅な日常』3巻はまた違った味わい。

 

夕士の成長を見守る大人達の言葉がひとつひとつ胸に刺さります。中学生から大学生くらいの読者に向けた著者のメッセージを強く感じた。

とくにこの巻は女の子に向けられている部分も多い。「気を付けていれば防げることもある」という言葉。主人公であり語り手の夕士に語らせてはいるが、成長過程にある子供への大人の意見である。

 

「救えないものもある」というのは『地獄堂霊界通信』でも言っていた言葉。とても深い意味のある言葉だと思う。

俳句

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児童書『俳人 芭蕉・蕪村・一茶を知ろう 小林一茶』を読む。

 

児童書と言えども、字が大きいだけで、子供が読んでもあんまり面白くはなさそう。大人向けとも言える。

このシリーズの松尾芭蕉を読んで、俳人がどんな暮らしをしていたのかがなんとなく分かった。

 

一茶編でも同じく、人物像や生い立ち、代表的な句が紹介されている。

 

一茶の俳句は「やせ蛙まけるな一茶これにあり」「雀の子そこのけそこのけ御馬が通る」など小さいものに向けられた温もりを感じる句が有名。

 しかし、継母にいじめられていた(と思い込んでいた)ことを露呈したり、遺産相続で揉めたり、俳人であることを後ろめたく感じていたり、なんかちょっと女々しいなと思った。

それも踏まえて一茶の句をよむともっと面白い。